白井利明『の心理学』

タイトルに惹かれて読んでみたが、引用ばかりで何が言いたいのかよくわからなかった。

共同をつくる契機

ひとりではもち上げられない大きなものを持ち上げようとして、みんなで「一、二」と声をかけるとき、そこには「三」という未来が共有されているという。このように、見通しの共有によって、ひとりではもち上げられない大きなものをもち上げることができるのであり、個人にとって、より大きな自由が獲得できるといえる。集団でちからを合わせて何かをしようとするとき、あるいは、何か共同の課題を解決しようとするとき、集団の時間的展望が必要なのである。

過去と未来の境目としての現在

峠は空間としてみれば、体験の世界から未知の世界への境目、時間としてみれば過去と未来の境目としての現在のことである。なじんだ世界は捨てがたいが、捨てないと未来はない。峠は決定を強いるところである。〜区切りをつけなければ、過去と決別することはできない。決着のつけられない過去、つまり過去化しない過去が蓄積されてしまうと、時間がすぐに過ぎてしまったように感じるのではなかろうか。

表現がもたらす出会い

表現の意義は、第一に、自分の気持ちを言葉に置き換えることにより、傷ついた体験の繰り返しを止められることである。〜第二に、他者に語り、他者と共有することにより、社会的関係を回復する。自分の話を真剣に聞いてもらうことにより他者への信頼が芽生え、自分が認められることによって自分への信頼が芽生える。〜第三に、繰り返したり、話を聞いてもらったりするうちに、話の内容にまとまりができ、物語性を帯びてくることである。〜物語としてのまとまりができてくることは、自己が統合されることを意味する。

“希望”の心理学―時間的展望をどうもつか (講談社現代新書)

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